病院で行われる補完療法~英国と日本~②


<ロイヤルフリーホスピタルで実施されている補完療法>

 イギリスのどの病院でも、等しく補完療法が受けられるわけではありませんが、
 ロイヤルフリーホスピタルのように、
 国立病院で補完療法を受けることができる病院があります。

 その中でも、特にロイヤルフリーホスピタルがここまで積極的に
 患者さんに対して補完療法であるマッサージを実施しているのは、
 キースさんの地道な活動の賜物といえます。

 患者さんと接することの心構えと、
 医療チームに信頼され、連携をよくしていくこと、
 この両方に配慮していくことが、とても大切だそうです。


2016年ロイヤルフリーホスピタル研修にて 


◆ケアを行う前に、患者さんとの距離感、付き合い方の心得を徹底しておくこと

 キースさんのお話をお聞きしていると、
 いつも患者さんに寄り添い、心身が少しでも穏やかに、快適になるように、
 フィジカル面と、メンタル面の両方に全エネルギーを注いでいるように感じます。

 確かにそうなのですが、
 時には、セラピストとして寄り添うことに悩んだり、
 患者さんとの接し方に難しいと感じたり、
 さまざまな「心の迷い」と直面することもあります。

 「どの患者さんにもいつも愛情を持って、
  リラクゼーションや元気を贈りたい!」

そう思って一生懸命に頑張ろうとすると、
限界を感じることがあるかもしれません。

弾性ストッキングの着脱の練習

キースさんは、
患者さんとの接し方に、ルールを持ち、
良い意味で、距離間を保つことを教えてくれます。


・医療現場で活動することは、個人サロンとは違うということをわきまえる。
・医療チームと協力はするが、医療の代わりをしているわけではない。
・医療チームからの指示、例えば圧の加減や施術部位などを決して
 セラピストの判断で変更しない。
・公平、中立を保ち、患者さんの期待に応えようとし過ぎない。
・希望しない患者さんには、無理に勧めない。

一人の患者さんに、エネルギーを注ぐあまりに、
あるいは良かれと思ってしたことでも、医療チームとの約束を破ってしまったら、
信頼関係が崩れてしまうことも。
1件のケースにより、その先に待っている方々のサポートが
できなくなってしまうことは避けなければならないことです。

そこにボランティアといえども、プロフェッショナルな意識、客観性
を常に持つことが大事だとするキースさんの意見は、
私も、常に心がけています。

セラピストは、患者さんに寄り添って、元気を贈りたいという
気持ちがとても大切です。
そのことに一心になり過ぎるあまりに、
かえって自分自信のコントロールが難しくなるときもあります。

・自分自身の心身のケアを怠らない。
・気軽に相談できる人が必要で、例えば家族や同じセラピストとの良い関係を
 築いておく。
・自分にあったペースで活動する。

ことをしっかり考えておく必要もあります。

2017来日セミナー講演の様子

◆患者さんへのトリートメントのメリットを最大限に活かせるよう工夫する

患者さんに補完療法を提供することには、さまざまなメリットがあります。

身体的メリット
・疝痛緩和
・不快感の緩和
・化学療法や放射線療法の副作用を軽減する
・免疫機能を穏やかに活性化する
・睡眠補助
・筋肉の緊張をやわらげる


心理的メリット
・リラクゼーションを促す
・病院への不安感を和らげる。
・患者が楽しみにする事が増える。
・前向きな気持ちにし、元気を与える。  など

これらは、セラピストが病院で活動することの大きな目的になります。

患者さんの病気に合わせて、施術部位や時間は調整が必要になりますが、
基本的には、受けたいと希望する方、受けたほうがより良いという方に
最大限サポートができるように、考えます。

「感染症だから、施術ができない」
「足と腕しか施術はしない方針だから、この患者さんにはできない」

というふうに、こちらの考えだけで、メリットを受けられない患者がいる
ことは、とても残念なことです。

・ドライハンドだったらできるか
・感染を防ぐため、グローブを着用すればできるか
・顔やヘッドであればできるか
・時間を短縮するならできるか

など、なるべく施術が受けられるように、医療チームと相談していく姿勢が大事。

施術中は、患者さんの表情をよく見ながら行う
笑顔も大切


ロイヤルフリーホスピタルでは、
手術直前に、心拍を落ち着かせるためにセラピストが呼ばれることがあります。

また、医師から病状についての告知を受ける前に、緊張をとったり、
強い気持ちを持ってもらうために、施術を行うこともあります。


どのような目的で患者さんに施術を行うのかは、
病院によってもルールが異なるでしょう。

医療チームがセラピストに期待すること、
私たちが行うこと、できることは何か、

双方の意思を確認し、ルールを決めておく、
そして前向きにルールを変更できる信頼関係も必要でしょう。

チームとして行動していることを自覚することも大切であると
キースさんは教えてくださいます。

患者さんに行うフェイシャルトリートメント実習

日本の病院で補完療法としてアロマセラピーやトリートメントを行うことは、
現段階では、ボランティアがほとんどかもしれません。
ボランティアでも、心構えは同じです。

ボランティアだからとか、無料・有料の差で、
患者への対応が変わるのは好ましくありません。

セラピストは、施術をしようと決めたときから、
ベストを尽くし、改善を重ねていくことで、
環境や組織を良くしていく種が育つと考えると、

前向きに、そして謙虚に、着実に、
補完療法を拡げることにつながります。

キースさんは、今の環境を築くまでに、
20年以上の実績を積まれています。

地道な行動が実を結ぶとは、まさしくこのことですね。


最後までお読みいただきありがとうございます。

to be continue....♪

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2017年、2018年の担当講座

・『国際プロフェッショナルアロマセラピーディプロマコース』
 http://www.imsi.co.jp/course/aroma/diploma.html

・2017年12月20日(水)、2018年2月7日(水) 
 『クレンジングとクレイマスク』
 http://www.imsi.co.jp/course/skill/cleansing.html

2017年12月21日(木)、2018年2月8日(木)
 『メリディアンアロマフェイシャル』
 http://www.imsi.co.jp/course/skill/aroma_face.html

・『大切な人のために学ぶアロマセラピー3Dayコース』
 http://www.imsi.co.jp/course/aroma/kiso.html

2018年1月15日(月) 
 『日本産の和精油と香り文化の世界』
 http://www.imsi.co.jp/course/aroma/ifpa_14.html



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